【登壇者紹介】第8回 アジアカンファレンス2023【終了済】

事業分析/評価(動画)

大平 哲(オオヒラ サトシ)氏 
慶應義塾大学 経済学部

途上国の開発問題、とくに援助の効果の分析についてマクロ経済学の理論を用いて分析している。実際の援助プロジェクトの事後評価や、開発政策の立案にかかわったこともある。社会全体の効率性を追求するためには規格化が必須になるが、規格から漏れる人々の厚生改善が必須であり、そのための組織としてNPOに存在意義があることを大学の授業で解説している。2011年に偶然ユニカセ・レストランで食事をして以来、ユニカセとの縁が続いている。

登壇者

・中村 八千代 氏
(フィリピン)UNIQUEASE Corporation 創立者
(日本)NPO法人ユニカセ・ジャパン 理事長

2002年、「国境なき医師団(MSF)」日本事務局にて資金調達担当として従事。
2006年、「国境なき子どもたち(KnK)」の派遣員としてフィリピンに赴任。貧困層の子どもの教育・生活支援に従事。 2008年、同団体からヨルダンに派遣され、イラク人難民問題に取り組む。
2010年、国際協力の新たな道を模索し、ソーシャルビジネス「UNIQUEASE Corporation(ユニカセ・コーポレーション)」を創立し、貧困層のフィリピン人青少年の雇用機会創出を目的としたユニカセ・レストランをマニラにオープン。ソーシャルビジネスのパイオニアとしての取り組みは広く共感を呼び、様々なメディアでも取り上げられている。2013年、実践的な青少年育成事業を強化するため「NPO法人ユニカセ・ジャパン」を設立。フィリピンと日本の青少年たちが異文化交流を通して実際の事業企画や運営に携われる機会を提供。
また、世界で活躍する社会起業家たちとの幅広い人脈を活かし、関係機関が相互に連携・協力し合う「ソーシャルビジネス・パートナーシップ」を提案し、国境や団体の垣根を越えた関係づくりにも尽力。

・水井 裕 氏 
株式会社ココウェル 代表取締役

学生時代、途上国の環境問題を学ぶためフィリピンに留学。ゴミ山を見て衝撃を受け、環境と貧困問題の解決を目指して、2004年、ココナッツ専門ブランド「ココウェル」を設立。ココナッツオイルやココナッツミルクなどの様々なココナッツ製品を全国で販売している。2022年にサリサリストアをオープン。ココナッツを原料にしたアイスクリームや焼き菓子、ケーキなどの製造販売も行っている。
毎年、各地で講演を数多くこなし、ソーシャルビジネスとしての成功を収めている。

・ユニカセ・フィリピンスタッフ
2010年にマニラでオープンした”ユニカセ・レストラン”に就職したフィリピン人スタッフのベスとグレイス。貧困から脱却することを目指し、ユニカセの実践的なトレーニングを受けながらビジネスの現場で働き始め、主体的に気づき実行に移すことの大切さを痛感。
貧困の中で、数々の試練に直面しながらも諦めず、2名とも10年以上働き続け、経済的自立を果たしたロールモデルとして成長を遂げた。
ユニカセで学んだことを次世代にも伝えるべく、現在、貧困の境遇で十分な教育を受けられず、NGO/NPOで支援を受けている10代〜20代のフィリピン人の裨益者たちに、彼女たちが働いてきた経験で培ったビジネススキルトレーニングを提供している。

-Maribeth Berdejo MANALUS 氏(ベス)
ユニカセ・フィリピンスタッフ(トレーナー)

UNIQUEASE Corporationスタッフ(1期生)
マニラ首都圏ケソン市のパヤタス出身。

恵まれない家庭に生まれ育ち、毎日、食べることもままならない状況を幼少期に経験。小学生の頃、生活が困窮する中、ゴミ山でリサイクル品を探すスカベンジングをしていた父親を手伝い、時にはお風呂にも入れないまま学校に行かねばならず、クラスメイトたちから「臭い」といじめを受ける。中学校1年の頃、お金がなく学校を中退し、1年後に復学したが、中学卒業後は進学を断念。
17歳の時、ユニカセ・コーポレーションの1期生として雇用され、レストランでは接客を担当しながら他団体の裨益者指導を実施。また、ユニカセ・リーダー研修生として選ばれ、2011年から3回来日している。
現在は、ユニカセの青少年育成事業として「ビジネスコミュニケーションスキルトレーニング」「オンライン・対面式食育事業」を担当し、貧困地域の若者たちの育成を行っている。将来は、自分のカフェをオープンさせたいという夢を抱き奮闘中。

-Merry Grace Bersabe TAGAKO TAGNE 氏(グレイス)
ユニカセ・フィリピンスタッフ(トレーナー)

UNIQUEASE Corporationスタッフ(4期生)
マニラ首都圏の南に位置するラグナ出身。
グレイスが生まれ育ったラグナ・ビニャン地区は、1年の半分が洪水被害を受ける土地で、貧困により満足な食事ができず、教育を受けられない子どもたちが多く存在している。
グレイスは8人兄弟の長女で、幼い頃、児童労働を強制させられるだけでなく、父親から虐待を受け、その状況に耐えられず12歳で家出をし、路上生活をしていたところ、マニラで活動しているフランスのNGO(バラーニー)に引き取られ、施設で育った。
18歳の時、ユニカセ・コーポレーションの4期生として雇用され、故郷に残してきた兄弟たちを守りたい一心で必死に働き、ユニカセの接客担当ベストワンと評価されるまで成長。また、ユニカセで働きながら大学にも通い、ビジネスやマネジメントを学ぶ。
現在は、Korea International Cooperation Agency (KOICA)で働く一方、ユニカセの青少年育成事業として「英語研修」などを担当し、貧困地域の若者たちの育成を行いながら現地調査を実施している。

・ユニカセトレーニングの訓練生代表者たち