【学生インタビュー】株式会社COCOWELL代表取締役:水井 裕さん

ココナッツにのせる想い

「今回は11月19日開催の「国際協力・ソーシャルビジネス アジアカンファレンス2016」にご登壇いただく、COCOWELL代表取締役としてフィリピンのココナッツを製品化して販売している水井裕さんにインタビューさせていただきました。

ゴミが無くなると生活できなくなる人達がいる

Q. COCOWELLを始めた一番最初のきっかけは、なんですか?

A.実は学部の頃は英語科だったんですが、海外には無縁でした。でも、子供のころからボーイスカウトに入っていたのもあって、ずっと自然は大好きで環境問題にも興味がありました。

学部を卒業した時に、そのまま環境について勉強する専門学校に行こうとおもい、一年間バイトをしてから専門学校に入学しました。

その学校で、フィリピンのバゲオの大学に短期で環境問題を勉強しに行く機会があり、3か月間留学しました。きっかけは、その短期留学だったと思います。

フィリピンではそのころからゴミ問題が深刻で、勉強する環境問題も実際はごみ問題がほとんどでした。どうしたらゴミを減らせるのか、授業を通して勉強し、考えていました。

ある時授業の一環で、ゴミ山見学に行く機会があったんですね。そこにはもちろんゴミ山があったのですが、僕がそれ以上に衝撃だったのは、そのゴミ山からものを拾っているスキャベンジャーの人たちの存在でした。

僕たちはゴミをどうやって減らすのか考えていましたが、ゴミが無くなると生活できなくなる人達がいるということを初めて知りました。ゴミ山も、人の生活を支えているのです。

ゴミ山に隣接する町では、たくさんの支援活動が行われています。でも、ゴミ山での生活の根本的な解決にはなっていない。

じゃあ、根本的な解決ってなに?って考えたときに、そもそもゴミ山にいる人を減らせばいいって思ったんですね。

%e3%83%a4%e3%82%b7%e3%81%ae%e6%9c%a8実は今、メトロ・マニラにいる人たちは地方から出稼ぎに来てる人が多いんです。マニラで職を探し、夢を見て都会に出てきているのに、実際には短期雇用で終わってしまって次の職が見つからずに、最後はゴミ山まで来てしまう人がいる。

じゃあ、地方の職を作り出せばいいって思いました。そして地方に行ってみると、ココナッツの木がたくさんあるんです。

じゃあ、フィリピンの地方のココナッツを商品にしようと思いました。

「モノづくり」と「販売」って全然違う

Q.なるほど…COCOWELLさんはもう12年目ですが、立ち上げから一番苦労したことはなんですか?

A.やっぱり、販売です。ものを作れたとしても、そのあと売ることが難しい。実際立ち上げたころはまだココナッツも珍しかったし、なかなか買ってもらえませんでした。

ココナッツオイルって、固まるんですよね。気温によって形状の変わるオイルをお店で食用として使ってもらうには、本当に買ってくれる方の理解が必要でした。

なので、最初はフリーマーケットで少しだけスペースを貰って食用ではなくハンドオイルとして販売しました。200円、300円くらいで、少量で。

実際に使ってもらって、良さを実感してもらえれば、買ってくれると思いました。できるたけ、手で持って見れるようにいろんなところで出店していました。

「モノづくり」と「販売」って全然違います。やっぱり、売ることは本当に難しいです。

Q.水井さんのモットーは、何ですか?

A.モットーですか…COCOWELLのお約束という形で会社のモットーにしています。

なにより大事なのは、フィリピンの職人さんやココナッツ農園の人たちが幸せであるだけではなく、COCOWELLで働くすべての人とその家族が幸せであるように会社を作ることだと思っています。やっぱり、COCOWELLで働いてよかったと思ってもらいたいです。

日本から出ると視野が一気に広がる

Q.学生の間、やってよかったこと、やっておけばよかったことって、ありますか?

A.学生の間か…やっぱり、海外に行くことですかね。僕自身学部生の時は、英語科でしたが全く海外とは無縁でした。バイト三昧でしたね。今でも思うのは、その時から本気で英語を勉強して海外のいろんな場所に行っていたら、もっと変わったかなってことです。

実際、そのあと専門学校でフィリピンに行っていたからこそ今のCOCOWELLがあるので、やっておけばよかったこととやってよかったことは一緒なのですが。

やっぱり日本から出ると視野が一気に広がります。人生も変わると思います。

その自分の経験もあって、今COCOWELLでは、ちょっと人と関わりが持てていなかったり、引きこもりがちな高校生をフィリピンに連れていくという活動をしています。フィリピンに行って、ココラボリップのフェアトレード製品を一緒に開発しました。

この前その活動報告会を行ったのですが、人生の目標が変わった、と言ってくれている子もいて、やっぱり一回日本から出てみることは大切だなと思いました。

なので、日本から出てみることを学生のうちにやっておくといいかもしれませんね。

Q.水井さん、どうもありがとうございました!

【編集後記】

水井さんは、その想いをすべてCOCOWELLという会社で実現している方だなと感じました。感じたこと一つ一つが、COCOWELLの会社の活動で実現されているように思います。静かな佇まいの奥に、熱いものを感じる方でした。

19日のパネルディスカッションではどんなお話をお聞きすることができるのか、本当に楽しみです!

水井さん、お忙しい中お時間をとっていただきどうもありがとうございました!

<水井裕さんプロフィール>
大阪市出身。学生時代、途上国の環境問題を学ぶためにフィリピン・ベンケット州立大学留学。2004年8月、ココナッツの食品・化粧品・雑貨の専門ブランド、ココウェルを設立。現代表取締役。

株式会社ココウェル
2004年8月 大阪市平野区にて株式会社ココウェル設立
事業内容: ココナッツ製品の輸入販売、および製品開発
代表者: 代表取締役 水井 裕
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